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ARTICLESどんなからだをしていようとも、|石川優実 連載Vol.2

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生理用のアプリによると、今日は排卵日。

数日前から食欲は止まらない。食べても飲んでも満足しない。いくらでも飲めるし食べられる。
炭水化物、まだ頼めます、食べられます。

今朝の体重は二週間前と比べて2キロ増。
惨め、見苦しい、みっともない。

毎朝目が覚めたら無意識に自分のお腹を必ず触る私がいる。
無意識に、と思っているがそれはきっと意識的だ。
「太ったら愛されない」という私の意識がお腹を触っているのだろう。
その私が判断した私の体はみっともない。
今日の私は最悪。ダメな私。

石川優実NOISIEノイジー
一方で私は、前回のように「自分の体を好きになりたい」という記事を書いている。

好きになりたいのに、好きになれない。
正確にいうと好きな日もなくはない。
だけど、願いは
「いつ、どんな体でも自分を好きになりたい」。

今のところ、お腹がへこんでいて写真映りの良い日しか自分を好きになってあげられない。
そんなの1年に1回あるかないかだから、大体いつも私は私の悪口を盛大に言っている。

「今日もダメ」「全然痩せない」「また食べた」「意志の弱い人間だ」「お腹やばい」「見苦しい」。
自分が自分を一番いじめている。

あの人も美しい。あの人も綺麗。
自分の意志を持って人生をかけて闘う人たちを本当に尊敬している。
だからフェミニストは美しく感じるし、素敵だと思う。
だけど私は違う。私だけは見苦しい外見だと感じてしまう。
なぜだ。

お腹が出てるから?顔がまんまるだから?浮腫んでいるから?
みんな痩せてるように見える?
そうではなく、たぶん私より体重があるであろう人も、私からは美しく見える。

どうして、私はずっと私の体を嫌いなんだろう。

なんとかしたい。
私の体ではなく、私の心を。

NOISIEノイジー

エトセトラという、年に2回刊行される大人気のフェミニズム雑誌。

次の責任編集は美容ライターの長田杏奈さん。
「私の、私による、私のための身体」。
その号はきっと私を救ってくれるだろうと信じている。
長田さんの本「美容は自尊心の筋トレ」にもかなり救われた。

次のエトセトラが刊行されたら何回も読んで、自分の体を侮辱しない心を持つ練習をしよう。

そう、練習が必要不可欠だ。

きっと男性にはそんな練習も必要ないでしょうね。
お化粧して顔色を良く見せなくても、ヒールを履いて足を綺麗に見せなくても、就活や労働する権利がある男性には。

あ、「男性と比べるから賛同を得づらいんだ」っていうクソリプはいりません。
賛同は求めていません。
男性との差を明確に見せることでしか、性差別はなくならないと思っているので。

石川優実NOISIEノイジー

自分を侮辱するさまざまな、そしてたくさんの言葉をぶつけられて、幼い頃から太っていることはいけないかのような刷り込みで、自分の体を許せなくなってしまった。

昨年、#KuTooの署名を厚労省に提出したことでバッシングが最高潮だったとき、ご飯が食べられなくて体重が3キロ減って、少し安心した。
全然健康じゃないし、頭が回らなくて喋れなくなっていたのに。
寝ている最中に痙攣を起こしたりして苦しい思いをしていたのに。

運動すれば、とか、食生活を見直したら、という言葉も多いけれど、親切を装って他人の体型に「こうしたら”もっとよくなる”」と言うこと自体、押しつけがましいし失礼きわまりない。

転職紹介会社でアルバイトをしていた時の、
「事務の女の子探してる会社がある、太ってなければいいよ
という社長の言葉を、当時は流してしまったが今は絶対に忘れない、と思う。
男性を募集する時にそんな言葉、言う?
そもそも男女雇用機会均等法で求人を性別で指定することは違法なのに「事務の女の子」を探していたことも今となっては衝撃だ。

自分より大人なはずの、権力や実力があるはずの人から植え付けられる価値観。
おかしいと思い始めてなんとか矯正したいと思っても、価値観を変えるのは本当に難しい。
私は太ったら価値がない、そう思っているし思わされているよ。

だけど諦めない。
私は、どうすれば自分が自分の体を好きになれるのか、その答えを見つけたくて毎日過ごしている。だからこういう連載をしている。

わかっている。今の価値観の社会にこんな記事を出しても、当然、私を傷つけるコメントがつく。だけどそれでも、諦めたくない私がいる。
全ての人が、見た目を理由に傷つけられることのない社会になって欲しい。

石川優実NOISIEノイジー

シワが増える。
たるんで行く。
太っていく。
顔がくすんで行く。
体が弛んで行く。
二重アゴ。
三段バラ。
セルライト。
膝の上の脂肪。
目の下のくま。

これを「悪いこと」「悪いもの」としたのは一体誰?
平安時代もこれって悪いことだった?
いつから悪いことになった?
もしも時代によって変わるのならば、今でもこれらを
「みっともないこと」から「美しいこと」に変えることもできるのではないだろうか。

細い=美
太い=醜
誰が作り上げてきたのだろう?
もしも私たちがみんなで作ってきたならば、みんなで変えられる価値観ではないのか?

今回着た下着は、DOROSIWAの華レースブラレットセット

私のからだ、私のままでいいでしょ?
この下着をつけて、私はそう言いたい。
自分の体の嫌いなとこばかりを見つけがちな毎日。

だけどこの下着をつけると、不思議と「ここが良い部分かもしれない」とじっくり考えることができる。
ちなみに私はこのブラの横から少しはみ出している自分のおっぱいの形が大好きだ。まんまるで柔らかそう。私の体の好きな場所の1つ。
石川優実NOISIEノイジー
このように自分の好きな箇所に注目することは、とても大切だと思う。
自分の体の好きな部分を褒めてあげること、一体どれだけの人ができているだろう?

比べることをやめるのは本当に難しい。なぜなら社会は女性同士を勝手に比べ、競わせようとする。

そして、勝手に嫉妬していることにする。
羨ましいから嫌がらせしていることにする。

女性同士が議論しているときに、男性にとって都合の悪い方の女性が、男性にとって都合の良い方の女性の外見に嫉妬していることにして、「女の嫉妬は怖い」などと横槍を入れるのは、一部の男性たちの常套手段だ。
そして、男性に都合の悪い意見を言う女性は、それ以上の言及をできなくなる。変な話だ。

そんな勝手な競争やクソリプに負けずに、自分の体も他人の体も、
「なんでもおっけー!人類は皆素晴らしい!」
と心から思えるようなるには、自尊心の筋トレと同時に、社会の価値観を変えることが必要不可欠だ。

今日も私の心が私の体を責める。

だけど、「どんなからだをしていようとも、愛しているよ」
自分の体にそう言いたいし、言われたい。

だからその度に、ちゃんと言い直してあげよう。
私のからだ、私のままでいい。

編集部注:
記事内にリンクがありますが、広告記事ではなく石川さんが愛用する私物の紹介です。

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石川優実

1987年生まれ、愛知県出身。グラビア女優・ライター・フェミニスト。2005年に芸能界入り。 2017年末に芸能界で経験した性暴力を#MeTooし、話題に。それ以降ジェンダー平等を目指し活動。2019年、職場で女性のみにヒールやパンプスを義務付けることは性差別であるとし、「#KuToo」運動を展開。厚生労働省へ署名を提出し、世界中のニュースで取り上げられる。 2019年10月、英BBCが選ぶ世界の人々に影響を与えた「100 Women」に選出。2019年11月に初の著書「#KuTooーー靴から考える本気のフェミニズム(現代書館)」を出版。「2019年新語・流行語大賞トップ10」に#KuTooがノミネート。

写真 : 宮本 七生

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1986年生。
東京近郊を中心にスチール撮影をしております。
http://miyamotonanami-view.com/

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